CONTENTS
- 1. 補助金がある市町村(金額を確認できたもの)
- 2. 【重要】盛岡市には解体補助金がありません
- 3. 申請できる条件 ─ 「古いから」では通りません
- 4. 解体費そのものが上がり続けています
- 5. 補助金より先に確認していただきたいこと
- 6. この記事の情報を確認された方に
- 無料診断でお確かめいただけます
結論から申し上げます。岩手県33市町村のうち、空き家の解体・除却そのものに補助金があるのは15市町村です。制度の存在は確認できたものの金額を公表資料で特定できなかったところが2市町村、確認できなかったところが16市町村あります。
この記事を書いた理由は、民間の補助金まとめサイトの情報が実際と食い違っていたためです。ある集約サイトは盛岡市と一関市を「制度なし」、宮古市を「あり」としていましたが、市の公式サイトで取り直すと、盛岡市は解体補助が確認できず、一関市は令和8年度から新設されていました。金額を間違えたまま解体の計画を立てると、数十万円の狂いが出ます。
以下の表は各市町村の公式サイトを出典としています。ただし補助金は毎年度変わり、予算の上限に達すると年度内に受付を終えることがあります。実際に申請される前に、必ず担当課へご確認ください。当社は確認できなかった数字を推測で埋めていません。
1. 補助金がある市町村(金額を確認できたもの)
| 市町村 | 上限額 | 補助率 | 確認年度 | 制度の名称 |
|---|---|---|---|---|
| 金ケ崎町 | 100万円 | 4/5 | 令和8年度 | 金ケ崎町空き家除却補助金 |
| 滝沢市 | 100万円 | 4/5 | 年度未確認 | 滝沢市危険空家等除却工事補助金 |
| 八幡平市 | 100万円 | 2/3 | 令和8年度 | 八幡平市老朽空家等解体工事費補助金 |
| 一関市 | 50万円 | 4/5 | 令和8年度 | 一関市危険空家等解体費補助金 |
| 遠野市 | 50万円 | 1/2 | 令和7年度 | 遠野市特定空家等除却促進事業費補助金 |
| 奥州市 | 50万円 | 4/5 | 令和8年度 | 奥州市危険空き家除却工事補助事業 |
| 花巻市 | 50万円 | 8/10 | 令和8年度 | 花巻市老朽危険住宅除却費補助金 |
| 釜石市 | 50万円 | 未確認 | 令和8年度 | 釜石市危険空き家除却工事補助金 |
| 軽米町 | 50万円 | 4/5 | 令和8年度 | 軽米町空家等解体撤去事業補助金 |
| 住田町 | 50万円 | 4/5 | 令和8年度 | 住田町空家等対策促進事業補助金(除却事業) |
| 大船渡市 | 50万円 | 4/5 | 令和8年度 | 大船渡市危険空き家除却工事補助金 |
| 二戸市 | 50万円 | 1/2 | 令和8年度 | 二戸市特定空き家等除却費補助金 |
| 北上市 | 50万円 | 4/5 | 令和8年度 | 北上市危険空き家等除却補助金 |
| 洋野町 | 50万円 | 4/5 | 年度未確認 | 洋野町危険空き家等除却工事補助金 |
| 宮古市 | 30万円 | 1/3 | 令和8年度 | 宮古市空家等利活用補助金(解体撤去) |
上限額は30万円から100万円まで分布し、最も多いのは50万円です。補助率は4/5(8割)を採る自治体が9件で最多でした。
注意していただきたいのは、補助率が高くても上限で切られるという点です。補助率4/5・上限50万円の自治体で、解体費が200万円かかった場合、8割の160万円ではなく50万円が上限になります。つまり解体費が上限額の1.25倍を超えた時点から、補助率は意味を持ちません。
制度はあるが、金額を公表資料で確認できなかった市町村
| 市町村 | 確認できたこと |
|---|---|
| 陸前高田市 | 令和8年度当初予算書に「危険空家除却工事補助金 1,000千円」の計上があり制度の存在は確認。ただし補助率・上限額を記載した市の公式ページを特定できず、数値は未確認(二次情報では補助率4/5・上限50万円とされるが未検証)。市住宅政策室への直接確認を推奨 |
| 岩泉町 | 町公式ページで「空き家解体費用の一部を補助」「住まいるづくり事業補助金(空き家解体補助)」の存在は確認。ただし補助率・上限額・要件を記載した本文を特定できず数値は未確認(二次情報では補助率1/3とされるが未検証)。交付要綱PDFまたは町への直接確認を推奨 |
二次情報には金額が載っていますが、公式の裏づけが取れなかったため当社は数値を掲載しません。この2市町については、担当課へ直接お問い合わせいただくのが確実です。
2. 【重要】盛岡市には解体補助金がありません
盛岡市の公式サイトで確認できたのは、空き家の改修、購入、家財処分に対する補助でした。老朽化した危険な空き家の解体・除却そのものに対する補助は確認できませんでした。
盛岡市だけではありません。盛岡都市圏の雫石町・紫波町・矢巾町も同様です。確認できなかった16市町村は次のとおりです。
- 盛岡市
- 久慈市
- 雫石町
- 葛巻町
- 岩手町
- 紫波町
- 矢巾町
- 西和賀町
- 平泉町
- 大槌町
- 山田町
- 田野畑村
- 普代村
- 野田村
- 九戸村
- 一戸町
ここに、多くの方が気づいていない逆転があります
解体費を補助金で軽くできる地域と、更地にしたときに土地が売れる地域は、一致しません。むしろ逆に近いのです。
| 解体補助金 | 更地にした後の売却 | |
|---|---|---|
| 盛岡市・紫波郡・滝沢市周辺 | 盛岡市はなし | 住宅地の需要があり、売却で解体費を回収できる可能性がある |
| 沿岸部・県北の町村 | ある自治体が多い | 土地の単価が低く、売却代金で解体費を回収しにくい |
補助金があるのは、土地が売れにくい地域です。土地が売れる地域には、補助金がありません。「補助金を使って解体し、売って手元に残す」が両方成り立つ地域は、思っているより少ないということです。
ですので盛岡市周辺で空き家をお持ちの方は、補助金を前提に計画を立てないほうが安全です。代わりに、売却代金から解体費を差し引いて手元にいくら残るのかを先に確認するのが現実的な順序になります。当社の診断は、この計算を最初に行います。
3. 申請できる条件 ─ 「古いから」では通りません
最も誤解が多いのがここです。補助金の対象は「古い家」ではなく「危険な家」です。多くの自治体が住宅地区改良法施行規則の不良度測定という評点を使い、100点以上を条件にしています。
| よくある条件 | 注意点 |
|---|---|
| 不良度判定が100点以上 | 住宅地区改良法施行規則の評点。築年ではなく老朽度で判定するため、比較的新しい建物でも通り得ます |
| 1年以上使用されていない | 居住実績がないことの確認を求められます |
| 市町村税の滞納がない | 世帯全員を対象とする自治体が多い |
| 市町村内の事業者が施工 | 域外業者の見積では申請できません。相見積の取り方に影響します |
| 建物の全部を解体する | 一部解体は対象外 |
実務で最も効くのは「市町村内の事業者が施工すること」です。域外の解体業者から取った見積では申請できません。相見積を取る段階から、対象地の市町村内に本店・営業所がある事業者を含めておかないと、あとで取り直しになります。
そして評点が100点以上ということは、逆に言えば「まだしっかりしている家」は対象外だということです。傾きも大きな破損もない家は、補助金の対象になりません。この場合、その建物はまだ価値を持っている可能性があります。壊さずに売ったほうが手元に残る、という判断があり得ます。
4. 解体費そのものが上がり続けています
空き家1戸あたりの解体費は、2024年度の調査で全国平均187.7万円でした。5年前と比べて27〜30%の上昇です。木造住宅の建築費指数も10年で4〜5割上がっており、大工の人数は1980年の3分の1になっています。
これは「待てば安くなる」ものではありません。待てば高くなります。補助金の上限額は据え置かれることが多いので、解体費が上がるほど補助金でカバーできる割合は下がっていきます。
1981年(昭和56年)以前に建てられた建物では、アスベスト含有建材の調査・除去費が加算されます。当社の診断では概算で12%を加算していますが、これは当社の設定値です。実際の金額は調査結果によって変わります。
5. 補助金より先に確認していただきたいこと
所有者の名義と、判断能力です。ここが崩れていると、補助金の有無は問題になりません。
ほとんどの自治体の補助金は、申請できるのが所有者または相続人です。そして共有の場合は共有者全員の同意を求めます(花巻市の要件に明記されています)。
「名義は亡くなった父のまま」という状態は、単独所有ではありません。民法898条1項により、相続人全員の共有です。ご本人は単独名義のつもりでいることが多いのですが、この状態では解体も売却もご本人だけでは決められません。
そして共有者のお一人が認知症になって意思能力を失うと、その一人だけで物件全体が止まります。売却も解体も共有者全員の同意が必要なためです(民法251条1項)。補助金の申請にも同意が必要です。
所在が分からない共有者には、民法262条の2・262条の3による裁判所の手続きという出口があります。しかし認知症で失われた意思を裁判所が代わりに補う制度はありません。成年後見人を選任して代理させるほかなく、居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可も必要です(民法859条の3)。
つまり「連絡が取れない」より「認知症」のほうが重いのです。補助金を調べるより先に、登記事項証明書で名義を確認し、ご本人の判断能力がまだ残っているかを確かめてください。
6. この記事の情報を確認された方に
当社の無料診断では、市町村を選んでいただくと、この補助金データベースから該当する制度を引いて、解体費の見込みと差し引きで手元に残る金額をお示しします。あわせて、ご本人が判断できる期間の目安も年数で出します。
当社は宅地建物取引業として不動産の売買・仲介を行い、認知症による資産凍結を予防する業務を岩手県で立ち上げています。補助金の申請を代理することはできませんが、要件の確認と書類の準備はお手伝いできます。税額の計算と法律相談は、税理士・弁護士・司法書士の領域ですのでお受けしません。
無料診断でお確かめいただけます
市町村・築年・名義の状況・ご本人の様子など14項目にお答えいただくと、判断できる期間の目安、解体費、補助金の見込み、売却と賃貸それぞれの手取り、そして取るべき手段と担い手をお示しします。ご入力の内容だけで結果が出ますので、現地の調査は不要です。
診断は無料です。結果のレポートをお送りするためにメールアドレスをいただきますが、ご同意なしに営業のご連絡はいたしません。