CONTENTS
- 1. ご相談の要旨
- 2. 役割分担のご提案
- 3. 当社がお役に立てると考える点
- 4. 費用と収益について
- 5. 岩手県で取り組む理由
- 6. 想定されるご懸念について
- 7. お願いしたいこと
本資料は、民事信託にお取り組みの司法書士の先生方へ、業務提携のご相談としてお持ちするものです。先生の独占業務の領域には立ち入らず、その前後の実務を当社が担うことで、双方の負担を減らす形をご提案しています。
1. ご相談の要旨
信託契約書の作成と信託登記は先生にお願いし、その前後の実務(物件調査・家族の意向整理・意思能力の記録・処分の実行)を当社が担う。紹介料の授受は行いません。
当社は宅地建物取引業者として、認知症による資産凍結を予防し、空き家となった不動産の出口を設計する事業を岩手県で立ち上げます。事業の中で、民事信託の組成が必要となる案件が継続的に発生します。
その際、契約書の作成・条項の設計・信託登記・個別の法律相談は、弁護士法72条および司法書士法上、先生方の領域です。当社はここに立ち入りません。ご相談したいのは、その前後の実務を当社が引き受けることで、先生のご負担を減らせないかという点です。
当社は紹介料をお支払いいただきません。当社の収益は不動産取引から得るためです。
2. 役割分担のご提案
| 工程 | 担い手 | 内容 |
|---|---|---|
| 1. 初回診断 | 当社 | 所有者の状況・物件条件から、判断できる期間・解体費・処分可能性を算出 |
| 2. 物件調査 | 当社 | 建物状態、解体業者3社の見積、アスベスト含有の確認、自治体補助金の適用調査 |
| 3. 意思能力の記録 | 当社 | 面談で確認した質問とご本人の回答を記録。共有名義では共有者ごとに作成(詳細は3章) |
| 4. 家族の意向整理 | 当社 | 相続人全員へのヒアリング、意向・懸念・条件の書面化 |
| 4b. 名義の整理(共有案件) | 先生 | 遺産分割協議書の作成、相続登記。当社は日程調整と資料整理のみを担います |
| 5. 信託契約の組成 | 先生 | 契約書の作成・条項設計、公正証書化、信託登記、信託口口座の開設支援 |
| 6. 発動判定 | 当社 | 認知機能の低下・施設入居・相続発生の検知と家族への通知 |
| 7. 処分の実行 | 当社 | 補助金申請の支援、解体工事の発注監理、買取または仲介による売却 |
先生にお願いするのは工程5、および共有・相続登記未了の案件における工程4bです。工程1〜4で整った資料(物件カルテ、解体費比較表、家族の意向確認書、意思能力記録台帳、登記事項証明書と共有者一覧)を添えてお引き継ぎしますので、書面の設計に集中していただけます。
相続登記が未了の案件では、信託の組成より先に遺産分割と相続登記が必要になります。この場合、先生にお願いする業務は2段階になりますので、当社としてはそれぞれ独立したご依頼としてご相談者にご説明します。
2-1. 紛争性が生じた場合
工程4の過程で相続人間に紛争性が生じた場合、当社は直ちに進行管理から退き、先生にお引き継ぎします。当社が交渉や調整に関与し続けることは、非弁行為に該当し得るためです。この線引きは社内基準として文書化しています。
3. 当社がお役に立てると考える点
「契約締結時に本人に意思能力があったか」を裏付ける記録を、契約前から蓄積してお渡しします。
3-1. 意思能力の記録
民事信託の組成において、後日この点が争われるリスクは先生方が最もご懸念される部分だと理解しております。意思能力の判断について、当社が特に重く受け止めている裁判例が二つございます。
一つは、意思能力の有無が行為ごとに相対的に判断されるという点です。福岡高等裁判所 平成16年7月21日判決(判タ1166号185頁)は「意思無能力かどうかは、問題となる個々の法律行為ごとにその難易、重大性なども考慮して、行為の結果を正しく認識できていたかどうかということを中心に判断されるべきものである」と述べたと理解しております。したがって「日常生活に支障がない」ことは、不動産の売却についての意思能力を裏づけるものではないと考えております。
もう一つは、当社と同じ立場の業者が当事者となった事案です。東京地方裁判所 平成26年2月25日判決は、宅地建物取引業者が認知症の売主から不動産を購入した売買契約について、意思能力を否定して無効としました。同判決が売主の状態のみならず買主側の事情を検討し、「不動産取引の専門家でありながら、親族間の紛争が予想される不合理な要望を漫然と受け入れ、注意義務を尽くしたか疑問が残る」と述べた点を、当社は自らへの指摘として受け止めております。
買主の注意義務違反が無効の判断に組み込まれるということは、「知らなかった」では守られないということだと理解しております。当社が記録を残すのは、先生にお渡しする資料としてのみならず、当社自身がこの注意義務を尽くしたことの記録としても必要だと考えております。
当社の工程3では、面談の場でご本人にご説明いただいた事項と、そのお答えを、要約せずご本人の言葉のまま記録します。確認するのは、見当識、物件の所有関係と取得の経緯、売却するとどうなるかの理解、代金の帰属と使途、売却後の住まい、同居されている方への影響とその方がこの話をご存じか、手続きを託したい相手とその理由、そして売却を考えた動機の八項目です。
あわせて、家庭裁判所の成年後見制度用診断書「判定の根拠」と同じ四区分(見当識、他人との意思疎通、理解力・判断力、記憶力)で面接者の所見を記録します。書式を家庭裁判所のものに合わせておりますので、医師に診断書をご依頼いただく際にそのままお渡しいただけます。
設問をすべて自由記述にしている理由
前掲の東京地方裁判所 平成26年2月25日判決は、ご本人が「周囲に対して取り繕ったり迎合的になったりして場面や相手によって自らの意見を変える傾向が顕著」であったことを、判断能力が著しく障害されていた根拠として挙げたと理解しております。
つまり「はい」とお答えいただけることは、意思能力の証明にはなりません。むしろ迎合の兆候であり得ます。そのため当社の確認項目には、お答えがはい・いいえで済む設問を一つも置いておりません。すべてご本人にご説明いただく形にしております。
「はい」等の短いお答えのみが複数記録された場合、システムが記録者に対してこの判例を示して注意を促すようにしております。
検査のスコアで判定しない理由
長谷川式やMMSEの点数は、参考情報として記録するのみで、可否の判定には一切用いておりません。東京地方裁判所 令和3年3月3日判決は長谷川式19点で遺言能力を否定し、東京地方裁判所 平成30年6月13日判決は8点で遺言能力を肯定したと理解しております。点数の順序と結論が逆転しております。
また、家庭裁判所の成年後見制度用診断書そのものが、検査の点数を「各種検査」欄に置き、「判断能力についての意見」を別のセクションとして、その判定の根拠に上記の四機能を挙げております。当社はこの構造に倣いました。
認知症の診断があることのみを理由に取引をお断りすることもいたしません。日本弁護士連合会「民事信託業務に関するガイドライン」(2022年12月16日)が「仮に認知症と診断されていても、程度は様々であることから、それだけで信託契約を締結できないと判断すべきではない」としている点に倣うものです。
記録は一時点では足りないと考えております
同ガイドライン第1-3(2)は「日時(午前又は午後等)、場所、方法を変えるなどして、意思確認を複数回行うことも望ましい」としております。また家庭裁判所の本人情報シートには「認知機能が日によって変動することがあるか」を記載する欄がございます。単一時点の記録では足りないことが前提とされていると理解しております。
そのため当社のシステムは、確認が一日分のみである場合、また同ガイドライン第1-3(1)にある「親族の同席なしに個別に意思確認をする機会」の記録がない場合に、その旨を画面に表示いたします。加えて、有効な記録であっても90日を超えたものは買取契約に進めないようにしております。
この記録は既にシステムとして稼働しており、記録なしに案件を先の工程へ進めることはできません。ご説明いただいた事項を五項目以上、四区分の所見をすべて入力しなければ保存できず、判定のチェックのみを残すことはできない設計です。四区分のうち二つ以上に支障の所見がありながら「意思能力あり」と判断する場合には、その理由の記載を求めます。
「意思能力に疑義がある」と記録した案件は、当社が買主となる契約に進めません。システム側で到達できないようにしています。担当者の判断や善意に委ねると、いずれ守られなくなると考えたためです。
また、有効な記録であっても90日を超えたものは買取契約に進めないようにしています。意思能力は時間とともに変わるため、「かつて記録があった」という事実だけで契約に進める設計は、実質的に無記録と同じだと考えました。
当社が医学的な診断を行うことはありません。記録と経過の提示にとどめます。認知機能の医学的評価が必要な場面では、医師の診断書を求め、その旨を記録します。将来的に薬事承認を受けたプログラム医療機器を調達して補助的に用いることは検討していますが、現時点では面談の記録が中心です。
3-2. 共有名義の案件を、単独名義と分けて扱っています
実務でご経験のとおり、単独名義と思われていた実家が共有であることは珍しくないと存じます。特に以前の相続で相続登記がなされていない場合、民法898条1項により相続財産は相続人全員の共有に属します。ご相談者は単独名義のつもりでおられますので、当社の診断では名義の確認を最初に置き、確認できていない場合は登記事項証明書の取得を先行させます。
共有では、最も状態の悪い共有者が物件全体の可否を決めます。凍結のリスクは共有者の人数だけ積み上がります。
ご本人がお元気であっても、共有者お一人の判断能力の喪失で全体が止まります。そのため当社のシステムは、判断できる期間の表示を共有者側の状況で上書きします。ご本人のみを見れば5年でも、判断能力を失われた共有者がおられれば0年と表示します。
当社が特に注意しているのは、何にどなたの同意が必要かの切り分けです。
| 行為 | 必要な同意 | 条文 |
|---|---|---|
| 自己の持分のみの処分 | 不要(単独でできる) | 民法206条 |
| 共有物全体の売却 | 共有者全員の同意 | 民法206条・251条1項の趣旨 |
| 建物の解体 | 共有者全員の同意 | 民法251条1項(形状又は効用の著しい変更) |
| 建物の賃貸(3年以内) | 持分価格の過半数 | 民法252条1項・4項 |
| 協議が調わないときの分割 | 裁判所への請求(最終手段は競売) | 民法258条1項2項3項 |
| 所在等不明共有者の持分の取得・譲渡 | 裁判所の裁判 | 民法262条の2・262条の3 |
建物の解体が民法251条1項の「形状又は効用の著しい変更」に当たり共有者全員の同意を要する点は、空き家の実務では見落とされやすいところだと考えております。当社は持分のみの買取を行いません。買主が物件を自由に使えない取引を、判断能力の低下しつつある方に提示すべきではないと考えるためです。
所在不明と認知症は、制度上の扱いが異なると理解しております
所在の分からない共有者については、民法262条の2(持分の取得)および262条の3(持分の譲渡)により、裁判所の裁判をもって解決の道が開かれております。ただし相続財産に属する持分については、相続開始から10年を経過していないと用いることができません(同条3項・2項)。
一方、認知症により意思能力を失われた共有者について、その意思を裁判所が代わりに補う制度はございません。成年後見人を選任して代理させる方法に限られ、居住用不動産であれば家庭裁判所の許可も必要になります(民法859条の3。許可を得ない処分は無効。保佐は876条の5第2項、補助は876条の10第1項で準用)。つまり「連絡が取れない」より「認知症」のほうが重い、という順序になると理解しております。
ご相談者は直感的に逆の順序でお考えになることが多いように感じております。この点をご説明できるかどうかが、着手の時期を左右すると考えております。
相続登記の未了は、それ自体が急ぐ理由になると考えております
不動産登記法76条の2第1項は、相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しなければならないと定め、同法164条1項は、正当な理由がないのに申請を怠ったときは10万円以下の過料に処するとしております。
もっとも、当社が申し上げたいのは過料そのものではございません。遺産分割協議には相続人全員の意思能力が必要であり、お一人が判断能力を失われた時点で協議そのものができなくなります。逆に分割を終えて単独名義にできれば、その後の凍結リスクは1人分に減ります。共有案件では、ここを先に済ませることが最も効果の大きい対策だと考えております。
共有案件において、当社は遺産分割協議の日程調整・資料整理・各相続人のご意向の書面化を担いますが、協議の内容そのものへの関与はいたしません。紛争性が生じた時点で直ちに退き、先生にお引き継ぎします。この境界の引き方について、実務のご経験からご指摘をいただきたい点です。
意思能力の記録を、共有者ごとに作成しています
当社のシステムは当初、記録に「どなたについてのものか」を持っておりませんでした。単独名義を前提とした設計であり、共有案件では機能しないため、これを改めました。
- 意思能力の記録には対象者のお名前を必須としました。お名前のない記録は保存できません
- 案件に登録された共有者の人数に対して記録の対象者が足りない場合、買取フローに進めません。共有者3名で1名分の記録しかない案件は、システム上先へ進みません
- お一人でも「疑義がある」と記録された場合、その時点で買取フローを阻却します
- 価格の上で成立していても、名義に起因する阻却がある場合は判定を「成立しません」に落とします
4番目は、ご相談者に誤った期待を持たせないための措置です。「手取りが残ります」とのみ表示して名義の壁を申し上げないことは、実質的に不実の説明に近いと考えました。
3-3. 建物を解体すべきでない案件を、解体すべきでないと判定します
当社の試算は当初「更地価格から解体費を差し引く」形のみでした。これはまだ市場価値のある建物を解体する提案になり得るため、改めました。
現在は「解体して更地で売る」「現況のまま売る」の2つのルートを常に並べて算定し、手取りの多い方を推奨として表示します。実際に試算しますと、築10年で維持管理の良好な物件では、現況売却の手取りが更地売却の2.8倍となる例がございました。従来の当社の出力は、この差額を丸ごと捨てるご提案をしていたことになります。
建物の残価は原価法により、国土交通省「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」(2014年3月31日公表)に沿って算定しております。同指針は、個別の住宅の状態にかかわらず一律に築後20年から25年で建物の市場価値をゼロとする慣行を改めるものとして、住宅を基礎・躯体と内外装・設備に分類し、基礎・躯体については性能に応じて20年より長い耐用年数を設定すること、基礎・躯体部分の機能が維持されている限りリフォームによる価値の回復・向上を評価に反映することを示しております。当社はこの2分類方式を採りました。
数値の出所を分けて開示しております
| 数値 | 出所 | 性質 |
|---|---|---|
| 再調達原価の単価 | 国税庁「地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)令和7年分用」 | 公表値 |
| 基礎躯体/内外装設備の構成比 | 当社の設定値 | 指針は割合を公表していない |
| 耐用年数 | 当社の設定値(指針の「20年より長い年数」の考え方に沿う) | 指針は具体的な年数を公表していない |
| 中古戸建て市場での反映率 | 当社の設定値 | 原価法の数値がそのまま実勢価格にはならないため |
当社の設定値である旨は、画面にもお渡しするレポートにも明記しております。指針が公表していない数値を、公的なものであるかのようにお示しすることはいたしません。この部分については不動産鑑定士の意見を得るべき箇所と考えております。なお、法定耐用年数(国税庁「減価償却資産の耐用年数」における木造住宅用22年等)は税務上の期間であり市場価値の評価年数ではないため、用いておりません。
再建築不可の敷地では、解体を提案いたしません
建築基準法43条の接道義務を満たさない敷地では、建物を除却すると新築ができません。現に存する建物が、その土地を使用できる唯一の根拠です。したがって解体は価値の破壊にほかなりません。当社のシステムは、無接道の入力に対して更地ルートを選択不能として表示し、その理由を明示します。
従来の当社のシステムは、こうした土地に対しても「解体して更地に」と出力しておりました。ご相談者に取り返しのつかない損害を生じさせ得る出力であり、直ちに改めました。
さらに「再建築不可であり、かつ建物も使用できない」案件は出口が両方とも塞がっている状態ですので、成立するかのように表示せず、行き止まりである旨をお伝えし、隣地所有者への売却(隣地と一体になれば接道義務を満たす場合があり、隣地所有者にとっては価値が上がるため最も現実的です)、空き家バンクへの登録、相続土地国庫帰属制度の順でご検討をお勧めする形にいたしました。
相続土地国庫帰属制度については、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律2条3項1号により建物の存する土地は申請できないため、先に解体費を負担する必要があります。そのうえで同法10条1項および施行令5条1項1号により、市街化区域または用途地域内の宅地では面積に応じた負担金(例えば200m2超400m2以下は「地積×2,250円+343,000円」)を要し、それ以外の宅地は一筆20万円、審査手数料は一筆14,000円で却下・不承認でも返還されません。また同法2条2項により共有地の申請は共有者全員が共同して行うときに限られますので、判断能力を失われた共有者がおられる場合はこの制度も用いられません。安易な出口としてご案内できるものではないと考えております。
3-4. 実行段階まで責任を持ちます
信託契約を組成しても、実際に不動産を処分する段階で受託者が動けなければ、当初の目的は達成されません。解体費用の手当て、解体業者の選定、売却先の確保という実務が残ります。当社は宅地建物取引業者としてこの段階を担いますので、先生が組成した信託が実際に機能するところまで見届けられます。
3-5. 解体費と補助金を、自治体公式の一次情報で把握しています
処分の実務では、解体費をどう手当てするかが実質的な論点になります。当社は岩手県内33市町村すべての解体・除却補助金について、各自治体の公式資料を出典として制度の有無・補助率・上限額・要件・年度を整備しました。
| 整備の状況 | 市町村数 |
|---|---|
| 金額まで確認できたもの | 15 |
| 制度の存在は確認したが、金額を確認できていないもの | 2 |
| 解体そのものへの補助を確認できなかったもの | 16 |
上限額は30万円から100万円で、50万円が最も多く、補助率は5分の4が最多です。要件はおおむね標準形があり、①住宅地区改良法施行規則による不良度判定が100点以上、②1年以上使用されていない、③市町村税の滞納がない、④市町村内の事業者が施工する、⑤建物の全部を解体する、の5点に集約されます。
調査の過程で、盛岡市には解体そのものへの補助金が確認できないことが分かりました。市の制度は改修・購入・家財処分に限られています。雫石町・紫波町・矢巾町も同様でした。
これは当社にとって不都合な事実です。買取が成立しやすい地価水準のエリアと、補助金が整備されている地域が、県内では逆に分かれています。したがって主たる対象エリアでは補助金を前提にできず、解体費の手当てそのものを設計する必要があります。ご依頼者に補助金の見込みを安易に申し上げることはいたしません。
確認できなかった項目は推測で補わず「未確認」として扱っています。陸前高田市と岩泉町は、制度の存在は確認できましたが補助率と上限額の公式の記載を特定できていないため、金額を含めずに試算しています。民間の情報集約サイトには年度不明の誤りが多く、全件を自治体の公式資料で取り直しました。
また、複数の町村を含む郡については、郡内の1町村の制度を郡全体に当てはめることをしていません。下閉伊郡では岩泉町に制度がありますが、山田町・田野畑村・普代村には確認できておらず、町村ごとに異なるものとして扱います。
4. 費用と収益について
4-1. 紹介料の授受を行わない理由
弁護士職務基本規程は、弁護士が非弁提携業者から事件の紹介を受けることを禁じています。司法書士についても同様の規律上の懸念が生じ得ると理解しております。当社が紹介料を受領する関係になれば、先生に規律上のリスクを負わせることになります。
したがって当社は、工程5に関して一切の対価をいただきません。ご報酬は先生が直接ご依頼者から受領してください。
当社の収益は、工程2・3・4の実務対価と、工程7の不動産取引から得ます。この構造であれば、案件を先生に回すことで当社が利益を得る関係にはなりません。
4-2. 依頼者の初期負担を下げる設計
民事信託の一般的な費用相場は、不動産を含む場合で50万〜100万円とされます。この初期費用が普及の障壁となってきました。成年後見制度の利用者が約26万人にとどまり、判断能力が不十分とみられる方の総数(推計約1,300万人)の2%にすぎない現状は、手段が高すぎるか、あるいは遅すぎることの結果だと考えています。
当社は収益の重心を工程7(処分の実行)に置くため、工程1〜4の価格を抑えられます。結果として、依頼者が民事信託に踏み出しやすくなります。先生のご報酬を値下げしていただく趣旨ではありません。
5. 岩手県で取り組む理由
| 指標 | 岩手県 | 全国 |
|---|---|---|
| 空き家率 | 17.33%(100,400戸/全国11位) | 13.8% |
| 高齢化率 | 38.3% | ─ |
空き家率は全国平均を3.5ポイント上回り、高齢化率38.3%は認知症による資産凍結が集中的に発生する条件です。県内では、更地の需要が確保できる盛岡都市圏を当初の対象エリアとします。
地価水準により買取が成立しないエリアがあることは認識しております。該当エリアでは買取を提案せず、診断・調査・意向整理・補助金申請支援にとどめる方針です。成立しない案件に買取を提示することはいたしません。
6. 想定されるご懸念について
6-1. 不動産会社が信託を勧めることへの懸念
当社が買主となる案件では、買取価格を抑えたい立場と、依頼者に助言する立場が重なります。この利益相反を放置しないため、社内基準として次を必須の運用としています。
- 買取価格の算定根拠を書面で開示する(更地想定額・流動性・解体費・諸経費および利益に分解し、第三者が検証できる形で交付)
- 仲介による他者への売却の選択肢を必ず併記する。仲介のほうが手取りが多くなる案件では仲介を勧める
- 意思能力に疑義がある場合、買取契約を締結しない。法定後見の申立てへお回しする
3番目は当社が収益機会を手放す規定ですが、判断能力を欠く方との売買契約は無効となり得るため、当社の事業防衛としても必要な線だと考えております。
6-2. 信託口口座について
信託口口座に対応する金融機関が限られることは承知しております。岩手銀行は信託口口座の開設に対応しているとされ、同行グループのいわぎんリサーチ&コンサルティングも民事信託サービスを提供しています。金融機関との関係については、先生のこれまでのご経験にご教示をいただきたい点です。
6-3. 共有案件で当社が踏み込みすぎないか
共有案件では、相続人の間を当社が行き来することになります。ここが非弁行為の線に最も近い論点だと認識しております。当社の社内基準では、日程調整・資料整理・各相続人のご意向の書面化までを当社の範囲とし、協議の内容についての助言、条件の調整、代理は行わないと定めております。紛争性が生じた時点で進行管理から退きます。
もっとも、この線引きが実務上維持できるものかどうかは、ご経験からのご指摘をいただきたいところです。当社としては、境界を狭く引いておくほうが事業として長く続くと考えております。
6-4. 案件数について
当初から多数の案件をお願いできるとは考えておりません。まず1件、実際に組成から処分までを通していただき、その過程で当社の実務の質をご確認いただきたいと考えております。
7. お願いしたいこと
30分から1時間、お話を伺う機会をいただけないでしょうか。
当社のシステムは既に稼働しており、実際の画面をお見せできます。次の3つをその場でご覧いただけます。
- 診断 ─ 所有者の状況と物件条件を入力すると、判断できる期間の目安、解体費の内訳、価格の算定根拠、取るべき手段とその担い手が出力されます。担い手の表示では、先生の領域と当社の領域を分けています
- 意思能力の記録 ─ 面談で確認した質問と回答を記録する画面です。記録がない案件、疑義があると記録した案件が、実際に先の工程へ進めないところをお見せします
- 解体補助金 ─ 岩手県内33市町村の制度を、出典とともに一覧でご覧いただけます
- 共有名義と再建築不可の判定 ─ 共有者全員分の記録が揃うまで案件が先へ進まないところ、および再建築不可の敷地で更地ルートが選択不能になるところをお見せします
価格の算定については、更地としての基礎価格から、形状・接道・規模・立地の補正、早期売却の調整、解体費、諸経費までを段階ごとに分解し、各段階に補正の理由を併記して表示します。建物の残価についても同様に、再調達原価から基礎躯体・内外装設備それぞれの減価、状態と耐震基準の補正、市場での反映率までを段階ごとにお示しします。仲介による売却との比較も同じ画面に出し、仲介のほうが手取りが多くなる案件では、システムが自動でその旨を表示するようにしています。
ご覧いただいた上で、実務上お気づきの点、特に当社が踏み込んではならない領域についてご指摘をいただければ幸いです。社内基準は作成しておりますが、実務のご経験からのご指摘に勝るものはないと考えております。
また、顧問としてご相談できる弁護士の先生をご存じでしたら、あわせてご教示いただけますと助かります。当社の業務フローについて、事業開始前に法務レビューを受ける必要があると認識しております。
連絡先: (担当者名・電話・メールを記入してください)/宅地建物取引士 登録番号: (記入してください)